生物統計学の書籍 3 冊を紹介する
生物統計学の書籍を 4 冊 紹介する.YouTuber 用語でいう企業案件ではない.
生物統計学 Robert R. Sokal, F. James Rohlf 藤井宏一(訳) 1983 生物統計学 共立出版
Biometry (1969) の縮刷版 Introduction to Biostatistics (1972) の全訳である.数式をできるだけ少なくして言葉で説明するというコンセプトで書かれた名著であり,筆者のバイブルでもある.とても古い書籍ではあるが,生物統計学を学ぶうえでの必読の書になっている.amazon で入手できるが,kindle 版はない.
川瀬雅也 松田史生 生命科学・生物工学のための間違いから学ぶ実践統計解析 R・Python によるデータ処理事始め 2021 日本生物工学会 編 近代科学社 Digital
統計解析の誤用を例にしながら,統計解析の基礎から実践までを丁寧に説明している.オープンソースのプラグラム言語である R および Python を使って統計解析を理解していくという構成をとっている.学生,院生,大学教授の会話という形式をとっており,Python の解説が突然あらわれて時代の要請にあわせたために書籍としての統一性が欠けているのはすこし残念である.2021 年出版のため ChatGPT – 4 の利用については記載されていない.amazon で入手できる. kindle 版もある.
板巻顕太郎 篠崎智大 2023 生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24 講 一般社団法人 厚生労働統計協会
最近,出版された英物統計学の書籍では最も信頼性が高い.生物統計学に関わる方には必読の本である.統計解析の手法について具体的に解説しているような,最近多く出版されている書籍ではない.医療系研究において,生物統計学の立場から,研究計画の立案、研究デザイン、データ分析、論文投稿まで丁寧に解説している.このブログを含めて 『 統計解析を深く理解することなく,それでも統計解析を正しく利用するだけの 書籍 や ネット記事 ばかりの困った現状を打破する 』ためには読んでおきたい書籍である.amazon で入手できるが,kindle 版はない.
まとめ
(1) 生物統計学の基礎原理から実践での利用までを網羅した書籍はない.
(2) 生物統計学の基礎から実践的での利用までを習得するには多くの時間と努力が必要である.
(3) 板巻顕太郎 篠崎智大 2023 生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24 講 一般社団法人 厚生労働統計協会 を購入して,読み,理解することは,生物統計学という学問を正しく理解するために最善の方法である.