解説

解説

サンプルサイズとサンプル数

サンプルサイズとサンプル数はまったく異なる概念である.これことを認識しないと統計解析の結果を正しく理解することはできない.サンプルサイズ右の表の Sample Size (サンプルサイズ)は 9 になっている.左の表のIndividual ID (個体番号) は 9 であることから,サンプル数は 9 であることが理解できる.右の表の Sample Size Needed(必要なサンプルサイズ) は 13.89・・・であるから,サンプルサイズは 9 になり,サンプルサイズはすくなくて 14 必要であることが示されている.つまり,サンプル数は統計解析に使用したサンプル数を表し,サンプルサイズは 正確に統計解析するために必要なサンプル数のサイズを示していることになる1).サンプル数                                    統計解析に使ったサンプルの数を示すサンプルサ...
解説

生物統計学において反復が意味すること

『 反復 』は統計学にとってデータの信頼性と再現性を担保するために不可欠な概念である.しかし,統計学の多くの書籍をあたっても『 反復 』の明確な定義は記載されていない.『 反復 』とは,① 複数のサンプルを使用すること,② 同じ実験を複数回繰り返すこと をともに意味している.反復(repetition)とは何を意味するのか?反復とは,分析・観察などの実験において,同じ条件で複数回データをとることを意味している.注意すべきことは,反復という専門用語は,① 複数のサンプルを使っていること,② 同じ実験を繰り返し行っていること をともに意味しているということである.この ① および ② をともに意味していることは混乱を招く原因になっている.実験例 生育のそろったトマトを 10 個体を用い,対照,除草剤処理,殺虫剤処理,殺菌剤処理を設け,乱塊法により反復を 3 回として 120 日間栽培した.トマ...
解説

対象とする集団

生物統計学では対象は生物なので個体差が大きく,たとえば,ある栽培方法が特定の植物にどのような影響を与えるかを調べるときには,対象とする生物集団の形質を均一にする必要がある.具体的には,対照と処理の品種・系統をそろえて遺伝的に均一で,しかもサイズのそろった集団構成することが求められる.供試数,個体数,サンプル数,データ数および標本数供試数,個体数,サンプル数およびデータ数という専門用語は生物統計学にとっても,解釈に齟齬を招く用語なので,ここでこれらを改めて定義しておくことにする.供試数  分析・観察など実験に使用した生物の数のことを供試数という.                                            個体数  分析・観察などの実験に使用した生物の数のことを個体数という.供試数 = 個体数 と考えてよい.サンプル数  分析・観察などの実験に使用したサンプルの総数...